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私の名前は愛美、27歳の独身女で明日結婚する予定である。
現在は、母と妹の3人暮らしで、母は離婚後、再婚せずに私と妹を女手ひとつで育ててくれた。
相当な苦労があったであろう母に、私は心から感謝している。
母が離婚したのは、私が小学校6年生の頃で、仕事ばかりして家庭を顧みない父との仲がうまくいかなくなり、私と妹を引き取って父と別れることを決意したようだ。
私が小学校低学年の頃は、父によく遊んでもらった記憶があるが、小学校高学年になると、家で父の姿を見ることも少なくなった。
父は、毎日会社の残業で遅くなり、土曜と日曜の休日も会社に出勤していた。
母は、父の体のことを心配していたが、父は母の言うことをいっこうに聞こうとせず、父と母は喧嘩が絶えなくなっていた。
幼かった私は、父と母のどちらが悪いのか、よくわからなかったが、父と母が離婚すると聞いたときは、とても悲しくて涙が止まらなかったことを覚えている。
私は、父に叱られた記憶はないが、毎日母から父の悪口を聞いているうちに、いつの間にか父は悪い人だと思い込むようになっていた。
そんな父とは15年会っていないが、時々、
(おとうさん、今頃何しているのかな?)
と思うことがある。
でもやはり、私たち家族を捨てるように出て行った父のことを、私は許すことができず、父とは二度と会わないと心に決めていた。
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