タンポポちゃんとギシギシくん

10/15
前へ
/15ページ
次へ
そんな、ギシギシの悪口を広めあうサルビア達をみて、私は生ぬるい視線を送った。 甘い。 こんな栄養の薄い土地で生き残るなら、平和事を言ってられない。 サルビア達には、人間というサポーターがいるから分からないのだろうけど、野生の私達には、そうせざるしかない。 限られた栄養の土地に生える植物に、共生はないのだ。 そんな環境におちいって生まれた自分の考えに、ただ虚しさが心がグルグルする。 あの頃は良かったな。 農薬を撒かれる前の、あの様々な植物で賑わったココが。 特に、私の元左隣さん。 皆に気を使って、根を最低限はやしてこない、優しい左隣さん。 そして今なら、彼の腰が曲がっていた理由が分かる。 私に良く日差しが当たるようにと、腰を曲げてくれていたのだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加