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「へー!私たちが綺麗な花をつけたら、いきなり運命の人が現れるんだ!」
「不思議!」
「どんな人なんだろう!楽しみだなぁ!」
私の綿毛つきの子ども達は、私の話しに口をいれつつも、真剣に耳を傾けている。
「ママは確かに、その運命の人に出逢い、アナタ達を産んだわ。でも、あくまでも、子孫を残すパートナーであって、本当に大切で大好きな人は別にいたの。」
この私の話しに、子ども達は明らかに、大きな疑問マークを浮かべた顔をしている。
私は、左隣にいたギシギシの事を、子ども達に伝えた。
私の話しを、真剣に沢山聞いてもらった事。
優しく、私の頭を撫でてくれた事。
命をかけて、私を守ってくれた事。
「確かに運命の人は、子孫を残す上で、重大な存在よ。アナタ達のような可愛い子ども達と出逢えて、何よりも幸せだわ。でもね、それと同じくらい、私はギシギシが隣にいてくれた事が嬉しかったの。」
そう説明したが、子ども達の?マークは取れないままだった。
無数に私の頭にいる子達は、この先生きてく中で、私のこの話しを思い出し、共感するのだろうか。
「ママ、それってどういうこと?」
「よく分からない・・っと、あぁ!強い風が・・!!」
私の頭から子ども達が飛び立ち、ふわふわと風に乗り、旅立っていく。
「私の可愛い子ども達!アナタ達がたどり着いた先にいるお隣さんは、もしかすると、アナタ達にとって、物凄く大切な人なのかもしれない。少しでも自分の心に温もりを感じたら、ママの話を思い出して!」
私は子ども達に、大きく手を振った。
「私たち植物の命は短い。だから1秒を無駄にしないで。私のように後悔はしないで。アナタ達の人生の旅の幸運を願っているわ!」
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