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そんな心配をしていたのだが、逆さな性格は幸いにも良い方向に生じ、仲の良い隣人になるのに、時間はかからなかった。
「ギシギシ!みてみて、あれ!」
「・・・・。」
「ほら、ハチがノイチゴさんに、ラブレターを持ってきてる!」
「あぁ、そうだね。」
「ねぇ、ノイチゴさんは、ラブレターの中に入ってる花粉を受け取るのかしら!」
「・・どうだろうね。」
「きゃー!花が実になったわ!カップル設立ね!」
「・・そうだね。」
口数が少ないものの、キチンと話しを聞いてくれる左隣さんは、無限に喋りたい私にとって、理想的な喋り相手になった。
「あ~、いいなぁ・・私も早く運命の人に会いたいなぁ。」
「そっか。」
「ギシギシは花咲かせてないけど、どうやって運命の人を探すの?」
「根で繁殖するから、そんな面倒なことはしないよ。」
「えー、つまんないの!でもまぁ、腰がひんまがっているギシギシは、他の女の子に相手にされないか!」
「・・ひどい。」
「会った時は、真っ直ぐだったのに・・最近本当に猫背になったね。治しなよ。」
「・・治さない。」
「えー!せっかくアドバイスしてるのに!頑固者!お嫁さんに、一生出逢えないよ!」
「根で繁殖するから、お嫁さんはいらないんだってば・・人のことより自分のことを心配したら?」
「へへん!私はね、花粉いりのラブレターじゃなくて、実際に王子様が迎えに来てくれるんだ!」
「・・そうなの?」
「うん!綿毛つきの種の頃、お母さんから聞いたの。」
「そっか。」
「早く運命の人に会いたいな。楽しみだなぁ!」
「早く迎えに来てくれるといいね。」
「うん!そのためにも、光合成をして、綺麗な大人にならなくちゃ!」
「・・そっか。」
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