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「タンポポの運命の人って、どんなヤツだろうね。」
「お母さんは、本当に、自分の想像していた理想的な人が現れるって言ってたの!きっとね、私より数㎝背が高くて、綺麗な葉っぱと花をつけてるはずよ!」
「そっか。」
「私も彼に劣らないように、綺麗に成長しなきゃ!」
「・・そう、頑張れ。」
ギシギシは優しくほくそ笑み、私の蕾を撫でてくれた。
決して温かくない彼の手なのだが、私自身に心地よい日を浴びるような暖かさが、からだ全体を包み込む。
植物の関係性は、肉親か、実をつけるパートナーか、他人か。
それ以外のものは存在しないはずなのに、ギシギシと私は、それ以外の関係のように思えて仕方がない。
きっと、人間に関心をもつ不思議な感性のギシギシに、私は少し、影響されているのかもしれない。
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