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翌朝。
普段は暖かい日差しを浴びながら目を覚ますのだが、今日は違った。
影が私を覆い包み、大変目覚めの悪い朝を迎える。
一瞬、天気が悪いのかな?と考えたが、曇り故に、辺りを包み込む湿り気がない。
いや、晴れた日以上に、土に水分が感じられない。
私が上を向くと、間近に、ギシギシの顔が目に入り込んだ。
「わぁっ!ギシギシかぁ、ビックリした。」
「・・・・。」
ギシギシは無表情に、私を眺めている。
良く見ると、日が出ているのに、ギシギシが私に覆い被さり、太陽の日差しを遮っていた。
「ギシギシ、どうしたの?」
「・・・・。」
「ねぇ、そこ、ちょっと避けて欲しいな。日が欲しいの。」
「・・・・。」
「ギシギシ、今日は根の張りがすごいね。私に水分が行き届かないよ。ねぇ、少し土の水分わけてよ。」
ギシギシは微動だにせず、ただ無表情に、私を眺めている。
ただ、私だけをジッと見続けている。
「ねぇ、ギシギシ。なんでそんなイジワルするの?」
「・・・・。」
「私、花をつける大切な時期なんだよ?」
「・・・・。」
「なんか言ってよ。」
「・・・・。」
「なによ!ギシギシの馬鹿!!ギシギシなんて大っ嫌い!!!」
そう私が言い終わると同時に、ギシギシは地面へ倒れこんだ。
「・・え?」
「ギシギシ・・ギシギシ!?」
私の声がけに、彼は微動だもしなかった。
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