0人が本棚に入れています
本棚に追加
農薬がまかれた日の翌日、私に黄色い花が咲いた。
土以外になにもいない敷地では、私の花は、よく目立つ。
咲いた花に喜びを抱くものだが、それ以上に、静けさがます環境に、涙がこぼれるばかりだった。
左隣にいて当たり前だった、姿勢の悪いギシギシがいない淋しさに、ひたすら心が震えていた。
そして、農薬がまかれて数日後、サルビアという鮮やかな赤い花たちが、人間の手により、この地にやって来た。
彼女たちは人間に媚びており、正直、私はいけ好かず、それが態度に出てたのか、誰も私に話しかけてこなかった。
そして、私とサルビア達の他に、一つの植物が、誕生した。
ソイツは、誰よりも根を這いつくばり、土の水分を独占し、ドンドンでかくなっていき、サルビア達に嫌われている。
その植物の名前は、「ギシギシ」。
私の良く知っている、左隣にいたギシギシと違い、背がピーンと太陽の方にのびていて、誰よりも暖かい日を浴びてるはずなのに、とても冷たい顔をしている。
私がよく知っているギシギシの、3倍位身長が高く、見る限りだと、まだまだこれからも成長をしていきそうな、風貌をしていた。
彼はこれから、もっと根をはやし続け、子孫を残し続けるであろう。
そんなギシギシにサルビアは、
「やぁね、遠慮がなくて」
とヒソヒソ声で呟いていた。
最初のコメントを投稿しよう!