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和明と仕事をしたことは、今までに何度もある。 和明と付き合ったきっかけが、こうして仕事を共にしたことでもあった。 お互いどんな形で進めていくのかわかってるから、やりやすいといえばやりやすい相手だけど、今はお互い一番組みたくない相手だった。 和明の仕事ぶりは的確だし、機転もきくし、それでいて早い。 そういったところを尊敬してたけど、今それを感じるのは、正直きつい。 付き合っていたときの気持ちを思い出してしまいそうで、無理にかさぶたにしようとしている傷が、抉られてしまう気がした。 かといって、私情を挟んで仕事をおろそかにするつもりもないから、気持ちを切り替えるほかない。 わだかまりにある程度折り合いをつけて、息を合わせていかなきゃいけなかった。
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