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クライアントが売りたい商材や、ターゲットとする顧客の説明を受ける。 仕上がりイメージや指示をひととおり話し終えたところで、和明が顔を上げた。 「以上だけど、なにか質問は?」 瑞希も顔を上げると、和明と目が合った。 真正面から視線が絡んだのは、久々だった。 瑞希が「ありません」と答えると、和明はテーブルの上に広げていた資料をまとめる。 「じゃ、今日はこれで  なにかわからないことがあれば、メールしてください」 「わかりました」 立ち上がる和明に続いて、瑞希も立ち上がる。 「じゃ、これからよろしくお願いします」 表面的なやりとりを交わして、営業本部を出た。 廊下に出た途端、瑞希の口から、堪えていたため息が零れた。
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