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「どうって……いつも通りよ  けどちょっと疲れたから、チョコ持ってるならくれない?」 「えー、なんだよそれ  まぁなんとなく気持ちはわかるけど」 「ほらよ」と、神田は引き出しからチョコを出して、瑞希に渡した。 今日のチョコはホワイトチョコだ。 あまり好きじゃないけど、瑞希は口に放り込んだ。 「ありがとう   っていうか、なんでいつもチョコ持ってるの?」 いつも引き出しに忍ばせている神田に、素朴な疑問を投げてみた。 和明も、その前に付き合っていた男も、甘いものが苦手だったから、瑞希は男とはそういうものだと思っていた。 けど、神田は当然だろと言わんばかりに言う。 「甘いもの食べたら、落ち着くじゃん」 「……まぁねぇ」 その点では納得する。 神田にとってのチョコは、瑞希にとってのコーヒーみたいなものかもしれない。 適当に頷くと、瑞希は気持ちを切り替えて、パソコンの電源を入れた。
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