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『こんばんは   日曜はよろしくね』 たったそれだけの、簡素なメッセージ。 それを見た瞬間、なぜか瑞希はほっとした。 「……なんだ、覚えてたのね」 小さく鼻を鳴らして、高鳴る動悸を押さえる。 しばらくメッセージを眺めていた瑞希は、『よろしくお願いします』と、ミヤサカに負けないくらい簡素に返信した。 フルールを閉じ、無意識にスマホを握りしめる。 知らず知らずのうちに希少価値でも見出してしまったのか、ミヤサカからのメッセージにばかり反応してしまうのが、癪に障る。 (ミヤサカめ……) いつもいつも、勝手に心を揺らすなんて、いい度胸だ。 明後日、どんな男なのか確かめてやる。 瑞希はスマホをベッドに放ると、自分もベッドに倒れ込み、目を閉じた。
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