4688人が本棚に入れています
本棚に追加
会ったことのない相手と、連絡なしに会うのは難しい。
だからこの人の中に紛れて、自分のことを探すミヤサカを見てやろうと思った。
(いつもいつもイライラさせられているし、それくらいいいわよね)
ミヤサカが焦っているところを想像すると、瑞希はなんだか楽しくなってきた。
掴んだスマホをもう一度鞄に押し込んで、少し端のベンチに腰を下ろした。
人が流れ集まるこの場所は、正午を迎えた頃から更に人が増え始めた。
瑞希の座る場所から、ハチ公も見えなくなってしまった。
ミヤサカを見つけたいけど、人が多すぎてよくわからない。
(これじゃきっと、ミヤサカも苦労するわよね)
そう思いつつ辺りを見渡した時、視界の端にひとりの男が映り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!