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会ったことのない相手と、連絡なしに会うのは難しい。 だからこの人の中に紛れて、自分のことを探すミヤサカを見てやろうと思った。 (いつもいつもイライラさせられているし、それくらいいいわよね) ミヤサカが焦っているところを想像すると、瑞希はなんだか楽しくなってきた。 掴んだスマホをもう一度鞄に押し込んで、少し端のベンチに腰を下ろした。 人が流れ集まるこの場所は、正午を迎えた頃から更に人が増え始めた。 瑞希の座る場所から、ハチ公も見えなくなってしまった。 ミヤサカを見つけたいけど、人が多すぎてよくわからない。 (これじゃきっと、ミヤサカも苦労するわよね) そう思いつつ辺りを見渡した時、視界の端にひとりの男が映り込んだ。
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