27/77
前へ
/399ページ
次へ
*** 日曜日の正午。 浩二が来た時には、ハチ公広場は人で溢れていた。 思った以上の人の多さに、内心たじろぐ。 そしてぱっとみたところ、『美月』と思しき女はいなかった。 (……もしかして、まだ来ていない?) それともやっぱり、『美月』は美月と似ていないとか? ここにくるまで多少不安だったけど、その不安が現実に変わってしまうかもしれない。 しばらく辺りを探してみても、やはりそれらしき人は見つからない。 遅れるんだろうかと視線を彷徨わせていた時、ふとだれかと目が合った。 その瞬間、浩二の鼓動が跳ねる。 (――――美月……) 自然と心の中で呟く。 それほど視線の先の女は、美月にそっくりだった。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4688人が本棚に入れています
本棚に追加