29/77
前へ
/399ページ
次へ
(……っていうか) さっきからへんな注目を浴びているのが気になる。 たしかに人を探していたけど、そんな挙動不審だったか? 集まる視線にいたたまれなくなってきたところに、『美月』はようやく「ミヤサカさんですか?」と聞き返してきた。 浩二は内心ほっと胸を撫で下ろす。 それと同時に、声まで美月にそっくりで、鳥肌がたった。 こんな偶然はあるのかと、気をとられて反応が遅れれば、『美月』は『違うの?』といわんばかりに眉を下げる。 (―――やばい) 浩二は慌てて繕う。 「そう、俺が宮坂です はじめまして」 軽く微笑めば、『美月』はゆっくりと立ち上がった。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4688人が本棚に入れています
本棚に追加