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瑞希は夜の営みが苦手だ。
元彼の和明とは付き合って三年だったけど、最後の一年は本当に数えるほどしかしていない。
そういえば、その前の彼氏ともあまりしていなかった。
セックス自体が嫌いなんじゃない。
けど、しても『そうじゃない』と思うことが多かった。
長い間触れられるのも気が削がれてくるし、荒々しくキスされても息苦しいし、へんな体勢を試そうとされるのも面倒だった。
普段は思ったことを口に出来るのに、そこだけは気が引けて、「そうじゃない」と言えないまま、ずるずると応えていた。
そんなわけで、どんどんと苦手意識が強くなった。
誘われても「疲れてる」と逃げて、嫌な顔をされることもあった。
だから、初対面の男とホテルにいくなんてありえない。
すぐさま「サヨナラ」と逃げ出し、そいつはブロックしてやった。
(……あぁ、嫌なことを思い出しちゃった)
瑞希は思考を振り払うように首を横に振る。
新しい相手を探そうかと思ったのにそんな気じゃなくなり、本音だらけの婚活ブログへと画面を切り替えた。
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