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食事のメニューを眺めていると、『美月』はその隣の縦長のメニューを手に取った。 「お酒は飲めるって、プロフィールにありましたよね。  もしよければ乾杯しませんか?」 (――――え?) 『美月』が手にしてるのは、アルコールのメニューだ。 (……乾杯って、酒のこと?) 昼から飲もうと女に誘われたことがなかったから、内心浩二は驚いた。 けど、特に断る理由もない。 「いいよ」と頷けば、『美月』は「なににしますか?」とメニューをこちらに向けた。 「なら、俺はビールで」 「私は……ファジーネーブルにします」 その単語が聞こえた瞬間、浩二の肩がほんの僅かに跳ねた。
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