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……どうしてそこまで疑うんだ。 自分のプロフィールにおかしいところが見つけられない浩二は、結局ため息を堪えきれなかった。 「だから本当だって。  あんなとこで嘘ついて、なんになるの」 「だって、見栄張ってる人もいっぱいいますもん」 「……そういう人もいるとは思うけど、俺はそうじゃない。  職業は本当にSEだし、仕事が忙しいのも本当。  フルールに書いてるプロフィールは、全部本当だから」 そこまで言えば、『美月』は半信半疑なりに、一応は納得したような顔をした。 だけど今度は、こちらを窺いつつ、別のなにかを考えているようだ。 (……ほんと、なんなの) 考え込む顔も美月にそっくりなのに、やっぱり『美月』は美月じゃない。 美月はこんな風に、だれかを疑ったりしないのに。
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