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浩二はもやもやとした気分を飲み込むように、三杯目のビールを飲み干した。
そして今度は、『美月』に問われた質問をし返してみた。
「なら、俺も聞きたいんだけど。
美月さんは、どうして婚活しようと思ったの?」
「……え?」
ぴくりと眉を動かした『美月』は、やがて目を細めて、はっきりと『失礼な』と顔に書いた。
(……わかってるよ)
もちろん、浩二にだって失礼は承知だ。
けど、尋ねたのは『美月』のほうが先だから、そんな顔をされるのは納得がいかない。
浩二が表情を崩さずにいると、『美月』はしばらくしてため息をついた。
逡巡の末に、半ばやけのような目を向ける。
「理由は、失恋したからです
結婚目前で、彼氏にフラれたんですよ」
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