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店内には、店員を含めて女しかいなかった。 だから、浩二が中に入った途端、女の視線が集まった。 場違いな店に来てしまったことを後悔しながら、浩二は『美月』の向いに腰を下ろす。 席と席があまり近くないのがせめてもの救いだけど、ひそひそ囁かれるのは、とても居心地が悪い。 「ミヤサカさんは、どれにしますか?」 メニューを開いた『美月』に尋ねられ、浩二は「コーヒーで」と短く言った。 「飲み物だけですか?  私、せっかくなんで、なにか食べますけど……」 「あぁ、どうぞ。俺にお構いなく」 「そうですか」 しばらくメニューを眺めてから、『美月』は店員を呼んだ。
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