4688人が本棚に入れています
本棚に追加
店内には、店員を含めて女しかいなかった。
だから、浩二が中に入った途端、女の視線が集まった。
場違いな店に来てしまったことを後悔しながら、浩二は『美月』の向いに腰を下ろす。
席と席があまり近くないのがせめてもの救いだけど、ひそひそ囁かれるのは、とても居心地が悪い。
「ミヤサカさんは、どれにしますか?」
メニューを開いた『美月』に尋ねられ、浩二は「コーヒーで」と短く言った。
「飲み物だけですか?
私、せっかくなんで、なにか食べますけど……」
「あぁ、どうぞ。俺にお構いなく」
「そうですか」
しばらくメニューを眺めてから、『美月』は店員を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!