47/77
前へ
/399ページ
次へ
ここに来る道すがらに『美月』が言っていた話だと、今後、浩二とやりとりを続ける気があるかどうかが怪しい。 浩二は『美月』と会って、美月のかわりは『美月』しかいないと思った。 だから、そうなるのはどうしても避けたい。 どうすればいいのかと思案していると、コーヒーとクレープが運ばれてきた。 とりあえず落ち着こうと、浩二はコーヒーカップに手を伸ばす。 その時ふと、向かいの『美月』の表情が気になった。 「……コーヒー、好きなの?」 半ば無意識に訊ねると、『美月』は手を止めて、訝しげにカップから顔を上げた。 「あ、いや。なんとなくそう思っただけ」 慌てて浩二が付け加えると、『美月』はほんの少し表情を緩める。 「……はい、そうです。  なんか、ほっとするんです」
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4688人が本棚に入れています
本棚に追加