4688人が本棚に入れています
本棚に追加
ここに来る道すがらに『美月』が言っていた話だと、今後、浩二とやりとりを続ける気があるかどうかが怪しい。
浩二は『美月』と会って、美月のかわりは『美月』しかいないと思った。
だから、そうなるのはどうしても避けたい。
どうすればいいのかと思案していると、コーヒーとクレープが運ばれてきた。
とりあえず落ち着こうと、浩二はコーヒーカップに手を伸ばす。
その時ふと、向かいの『美月』の表情が気になった。
「……コーヒー、好きなの?」
半ば無意識に訊ねると、『美月』は手を止めて、訝しげにカップから顔を上げた。
「あ、いや。なんとなくそう思っただけ」
慌てて浩二が付け加えると、『美月』はほんの少し表情を緩める。
「……はい、そうです。
なんか、ほっとするんです」
最初のコメントを投稿しよう!