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だけど、やっぱりあんなことを言われて、いい気がする人間なんていない。
瑞希みたいな人を探してたなんて言っていたけど、実際の瑞希と理想との差に、失望しているはずだ。
だからもう、今日でミヤサカとは終わりだろう。
それなら最後に、答えの出ない問いを尋ねてみたかった。
―――いや、違う。
聞いてみたかったんじゃない。
いままで誰にも言えなかった苦しみを、誰でもいいから聞いてほしかった。
しばらく黙っていたミヤサカは、やがてぽつりと言った。
「付き合ってるのが辛かったって、言われたんだ。
……その意味が知りたいの?」
瑞希は項垂れてしまいそうな首を、縦に振った。
「自分じゃ、いくら考えてもわからないんです
どうしてそんなことを言ったのか、わからない」
小さな声は、わずかな余韻を残して、重い沈黙へと変わった。
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