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「あんな曖昧な理由で、結婚をふいにされるなんて、納得できるものですか?
そんなんじゃ、納得できないって思うのは、おかしいですか?」
話しているうちに、瑞希の気持ちは昂った。
それを逃すように、大きく息を吸い込んで、息をつく。
ため息が少し残って消えた時、独り言のように言った。
「……相手はもう、私のことなんて忘れて、新しい彼女がいるんですよ
私と付き合った3年は、いったいなんだったの……」
口にした瞬間、瑞希の目に、枯れきったはずの涙が浮かびそうになった。
胸に湧き上がるのは辛くて悔しかった気持ちで、どんどんと膨らみそうになる。
瑞希は唇を噛んで、コーヒーに手を伸ばした。
大好きなコーヒーも、冷めて香りが消えて、美味しくない。
けどそうするくらいしか、泣きそうな自分をごまかす方法が、思いつかなかった。
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