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和明に言われた時、瑞希は『勝手に決めないで』と思った。
たしかに仕事は大事だ。
それでも、それだけをよすがに生きていきたいなんて、思っていなかった。
結婚が破談になったから、瑞希は他人と分かり合えると思わなくなった。
だけどミヤサカの言ったとおり、今思えば、和明は自分の気持ちを滲ませていたと思う。
そして瑞希自身、どれくらい和明に向き合っていたのかと聞かれれば、今は答えられない。
瑞希の胸を打つ鼓動が、痛いくらい騒ぐ。
仕事のできる和明を、とても尊敬していた。
和明だって、一生懸命仕事に取り組む瑞希を、褒めてくれていた。
けど精を出すあまりに、他がおろそかになっていたことまで、和明ならわかってくれると、盲目的に信じてしまっていた。
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