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『別れよう、別れて欲しい』
古びた喫茶店でそう言われた時は、徹夜明けでぼうっとしているから、昼間から夢を見ているんだと思った。
呆然とする瑞希に、和明はまるで仕事のように、「式場は俺からキャンセルするから」と告げた。
あまりのことに、当然受け入れられるはずもなく、瑞希は「なんで、なんでよ!」と叫んだ。
すると、和明は何とも言えない表情を見せた。
『付き合ってることが、苦しかったんだ』
その一言は、激昂する瑞希の頭に、冷や水のように降りかかった。
二の句がつげない瑞希に、和明はさらに言った。
『そんな相手とは、やっぱり結婚は出来ない』と。
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