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少し間があって、ミヤサカの声が聞こえた。
「ごめん、偉そうなこと言った」
殊勝な響きに、瑞希は俯いたまま首を横に振る。
言いたいことを言ったのは、ミヤサカとはこれで終わるつもりだからだ。
なのに、今みたいに接してくれたら、どうしていいかわからなくなる。
会話が途切れ、沈黙が訪れた。
間を持て余した瑞希は、冷めてしまったコーヒーに口をつける。
ミヤサカも、同じようにカップを口に運んだ。
彼はなにか考えていたけれど、やがて瑞希の目を見つめた。
「その人のこと、まだ好きなんだ」
(え………)
目を丸くした瑞希と対照的に、ミヤサカは目を眇める。
「さっき、泣きそうな顔をしてたから。
今みたいな質問だって、そうじゃなきゃしないよ」
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