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「いいえ、部署は違うんです。
元カレが営業で、私が企画なんで」
「そっか」
部署は違うのか。
けど、うちの会社にもそういった部署があるから、なんとなくわかる。
それなら、元カレがとってきた仕事が、『美月』に回ってきたってところだろう。
彼女の口ぶりからして、案件が終わるまで、それなりに時間がかかりそうだ。
「それは……きついね」
その状況は、たしかにきついと思う。
そうやって顔を合わせてしまうことが、引きずってしまう原因じゃないだろうか。
浩二が美月を忘れられなかったのも、似たような理由だったし。
茜色に染まった『美月』の瞳が、わずかに揺れている。
浩二は複雑な心境で、その瞳を見つめた。
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