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「……私、彼に別れを告げられた時、わからなかったんです。
自分が悲しいのか、辛いのか……。
頭の中がぐちゃぐちゃだったからかもしれないけど、その時、『彼と別れたくない、離れなくない』って、なぜか思わなかったんです」
(それって………)
それは、浩二にとって意外な話だった。
無言で続きを待っていると、『美月』は憂いのある視線を遠く向けた。
「おかしいですよね。
好きなら、一番初めにそう思ってもいいはずなのに……。
それよりも……辛くて、すごくすごく、悔しかった。
必要のない人間だって思われたことが、悔しかった。
彼にすぐ新しい彼女が出来たことも……
思い出す価値もないって、どうでもいいやつだって言われたように感じたんです」
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