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座席はもう、ほぼ満席だった。
なんとか取れた席は、通路側の最前列。
(わぁ、まじか…)
こんな席でなんて、映画を観たことがない。
ものすごく首が痛くなるんじゃないだろうか。
『美月』も顔をしかめていたけど、仕方ないと思ったのか、なにも言わなかった。
「なにか買う?」
売店を横目に尋ねると、『美月』は「いいえ」と首を横に振った。
「なら、行こうか」
ロビーを抜けようとした時、ふと若い女たちの視線を集めていることに気付いた。
(またか……)
浩二は内心嘆息する。
なぜかじろじろ見られることが多いから、浩二は人が多い場所が苦手だった。
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