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それに気付いた『美月』は、ちらりと浩二を見上げた。
呆れているのを堪えているような顔だ。
「……本当に、ミヤサカさんはモテますね」
「だから、モテないって」
そういったことを言われることもあるけど、本当にモテていない。
もしもそうだとしたら、10年以上片思いをしてるはずがないし、好きな女にだって好かれているはずだ。
『美月』の目を見返すと、彼女はすっと目を逸らした。
興味がないのか、信じていないのか、どちらだろう。
どちらにせよ居心地が悪い浩二は、ロビーを離れることにした。
場内に入り、一番前の座席に座ると、『美月』はぽつりと言った。
「ほんと唐突ですよね、急に映画が観たいだなんて……。
まぁ、これ観たかったやつですし、いいですけど」
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