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*** 映画館を出ると、街には夜の帳が降りていた。 瑞希は足元の薄い影を見つめながら、駅へと歩き出す。 ミヤサカは、あれから一言も話さない。 ただ黙って隣にいるだけだ。 ひとりにしてと思う反面、本当にひとりになると、どうしようもない孤独が襲ってきそうで、瑞希はなにも言えなかった。 二度もあの映画館で泣いてしまったけど、映画に感動したからじゃない。 まだ和明と別れる前、スケールアウトが映画化すると決まった時のこと。 和明が珍しく観たいと言った。 好きな小説が原作らしく、話を聞いているうちに瑞希も興味が沸いた。 公開したら、一緒に観ようと約束をした。 だけどその約束は、別れたと同時に自然と流れた。
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