4688人が本棚に入れています
本棚に追加
映画を観る約束なんて、きっと和明は忘れている。
自分だけが気にしているなんてみじめだし、卑屈な気持ちが蘇ってしまった。
この気持ちは、和明を恋しいからかと問われたら、違う気がする。
けど、次第に胸の奥から熱いものがこみ上げて、涙となってしまった。
(はぁ………)
瑞希は歩きながら、こっそりため息をついた。
ミヤサカには、何度となくへんなところを見せてしまっている。
泣いたことだって、感動ものの映画だったなら言い訳もできたのに、あのストーリーじゃ申し開きができない。
今日で彼とは最後だから、どうでもいいと割り切ってるけど、さすがにこのままサヨナラは決まりが悪い。
瑞希は礼儀として、もう一度謝っておくことにした。
最初のコメントを投稿しよう!