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和明のことで泣かないと決めていた瑞希は、これが最後だともう一度泣いた。 悲し涙じゃなく、悔し涙だった。 (―――もう、嫌なことを思い出しちゃった) 気が滅入った瑞希は、すれ違った和明からすぐに目を逸らした。 入れ替わりに和明が給湯室に入ると、思わずため息をつく。 もう一生顔を合わせたくない相手なのに、部署は違えど同じ会社なのは、本当にキツイ。 (いけない、仕事、仕事……) 瑞希は暗示のように心で唱えつつ、企画部に戻った。 コーヒーを飲みながらメールをチェックをしていると、始業の号令がかかった。 瑞希はスケジュール帳を片手に、パテーションで仕切られたブースに移動した。 そこで各々の進捗状況を報告するところから、企画部の一日が始まる。 ミーティングは15分ほどで終了し、解散した後は前日の続きに入った。
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