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縋るような神田に、瑞希はため息をついた。 (たしか、アイ・ビーネットは期限の短い依頼だったよね……) ミーティングでの神田の話を聞いていたから、大変な依頼なのは知っている。 けど、受けたからにはなんとしてでもやりきるのが仕事だ。 甘ったれるな!と言いたいけど、間に合わなければ会社の信頼を失うし、似たような案件を抱えている瑞希は、置かれてる現状と大変さがよくわかっていた。 (もう、仕方がないなぁ……) 瑞希はわざとらしくため息をつくと、どすんと椅子に座り直した。 「チョコ一粒じゃ、納品するまで手伝えないよ  せいぜい二時間ってとこだから」 うろんな目を向ければ、神田は疲れ切った顔をぱっと綻ばせた。 「それでもいい、ありがとう! 助かった」 嬉々として資料の一部を手渡され、もう一度ため息をついた。 現在時刻は20時を過ぎている。 納期まではあと四時間。 「絶対にそっちも二時間で終わらせてよね」 「おう!」 そうして瑞希は今しがたシャットダウンしたパソコンの電源を入れ直した。
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