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しばらく考えたのちに、瑞希は無理に強がることにした。 「……ごめんなさい。 けど、宮坂さんだって今のはセクハラですよ」 「セクハラって、瑞希さんがそんな話するからじゃん」 「それはそれ、これはこれです」 「なにそれ」 ふたりは互いの顔を見合わせ、眉をしかめた。 そのまま数秒経つと、お互いどちらともなく笑った。 「もういいです。 話しているうちに、なんだか馬鹿馬鹿しくなりました」 「よく言うよ。 さっきまでひどい顔をしてたくせに」 「ちょっと。 そういうことは、思っていても言わないものです」 言い合っているうちに、本当に馬鹿馬鹿しくなった。 コンプレックスに思っていたことは、自分自身も独りよがりだったと気付いたし、改善策だって教わった。 だからいつまでも気にしていたって、しかたないと思えたんだ。
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