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それからひたすら入力処理して、次に瑞希がパソコンの電源を落とした時は、もうじき日付が変わろうとしていた。
「ありがとう、芹澤!
間に合った!ほんとに助かったよ」
パソコンと資料の隙間から覗く神田は、やつれきった顔をしている。
瑞希はそれを横目に「はいはい」と気のない返事を置いて席を立った。
「じゃ、私は帰るね お疲れさま」
「おぉ、マジでサンキュー!」
神田の声を背にオフィスを出ると、エレベーターホールへ歩きながら目頭を押さえた。
(うぅ、目が痛い……)
今日はもしかして厄日だったのかもしれない。
朝から和明に会っちゃうし、こんな遅くまで残業するはめになるし…
こんなんじゃ、家に帰って自炊する気力もない。
瑞希は駅のコンビニでクリームパスタを買うと、終電から三本前の電車に乗った。
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