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慎重になるのは、痛い目を見たくないからだ。
けれど自尊心が保てる相手にすると決めたのは自分だし、ミヤサカには『気をつかわなくていい』というオプションもついている。
彼のことは好きじゃない。
けど、嫌いでもない。
(……だったら、ちょうどいい相手なんじゃない?)
結婚に恋愛が必要だなんて思っていないし、もうあんな思いをしたくない。
だれかを好きになって、打ちひしがれたくないんだ。
「……わかりました」
躊躇いを押しやって言えば、ミヤサカの瞳が揺れた。
「いいですよ。お付き合いしましょう。
来週の面会はお断りします」
「……瑞希さん」
「あ、それと。
フルールの担当アドバイザーに、私と交際する旨を伝えておいてください。休止しないとずっと月会費かかりますし。
それに……」
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