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(―――えっ) その提案は、できるなら拒否したい。 けど、仕事なんだから断れるはずもなかった。 「わかりました」と渋々頷くと、和明と滅多に行かない社員食堂に向かった。 食堂はそれなりに混んでいた。 打ち合わせしやすいよう、一番端の席に、向かい合わせで座った。 瑞希が頼んだのは日替わりの和定食、和明の前にはカツ丼ときつねうどん、ポテトサラダがある。 どれも和明の好物なのは知っているけど、『全然変わってないな』なんてことを考えてしまう自分に気が滅入った。 このままだとほかのことも思い出してしまいそうで、瑞希は急いで箸を動かす。 (早く食べて、仕事に専念しなきゃ) 向いに座る和明を見ないように視線を遠くにやると、ある女子社員と目が合った。
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