7/69
前へ
/399ページ
次へ
(あ………) それは和明と噂になっている、辻という新人社員だった。 彼女の目が今にも泣きだしそうで、瑞希は思わずむせてしまった。 和明がちらりと瑞希を見る。 けれどなにも言わず和明は食事を続け、瑞希もふいと辻から顔を背けた。 (……心配しなくても、あなたから獲ったりしないわよ) 辻がどう思おうと、これはいわゆるビジネスランチ。 和明と今更よりを戻したいだなんて思っていないと、瑞希は心の中で言い訳をした。 いつまでもこちらを見ている辻に居心地が悪い思いをしつつも、ふとある疑問が浮かぶ。 和明はあの子に、瑞希たちが付き合っていたことを話しているんだろうか。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4688人が本棚に入れています
本棚に追加