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振り返ると、そこに辻が立っていた。
「……あぁ、辻さんお疲れ」
和明は戸惑った顔で返事をした。
辻は瑞希に小さく会釈すると、和明に向き直る。
「飯田さん、少しだけ話があるんですけど、いいですか?」
「え、あぁ……」
和明はばつが悪そうな顔で、瑞希を横目に見た。
その視線が居心地悪くて、瑞希は軽く頭を下げ、急いでその場を離れた。
(なんなのよ、一体)
公式彼女のおでましに、逃げるように退散してしまった自分が悔しい。
辻は控えめで大人しそうなのに、声をかけてくるなんて驚いた。
和明とべつの女が一緒にいるのが、そんなに耐えられなかったんだろうか。
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