16/69
前へ
/399ページ
次へ
朝は一分一秒が惜しい。 返信していると、いつもの電車を逃すかもしれない。 瑞希はとりあえずスマホを鞄に突っ込んで、アパートを出た。 そうして数十分後、瑞希は電車の中で母親に返信をした。 『おはよう。ちゃんと覚えてたよ。 時間とか、また詳細を教えて』 本当は忘れていたけれど、どうせ行くんだから、正直に話して小言を言われることもない。 法事の場所は、埼玉にある母の実家だろう。 亡くなった祖父をとても好きだったし、法事には必ず行くけれど、母がたは親戚の数が多いから、いつも誰だかわからない人に話しかけられて、気をつかって疲れる。 そのことが少し憂鬱だった。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4688人が本棚に入れています
本棚に追加