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「もう帰ろうぜ。そろそろ電車なくなるし」
時計を見ながら言った浩二に、ふたりは急いで鞄を掴み、揃ってオフィスをあとにした。
滑り込んだ終電はかなり混んでいた。
眠気と戦いながらスマホを取り出すと、瑞希からLINEが届いていた。
『おやすみなさい』
その短いメッセージを見て、浩二の頬がふっと緩んだ。
瑞希と会ったのは先週の土曜日。
それ以降なるべく連絡を取ろうとしていたけれど、それが意外と難しいことがわかった。
用件以外で連絡をとることをしないから、なかなか世間話が思いつかない。
加えて仕事が忙しく、躊躇っているうちに数日が過ぎてしまった。
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