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ふたりが入ったのは、駅から数分のところにあるチェーン店の居酒屋だった。
ここには浩二も、何度か原田たちとも来たことがある。
どうやら瑞希も初めてではないようだ。
おしぼりを持ってきた店員に、ビールとファジーネーブルを注文した。
「なに食べます?」
瑞希に聞かれ、一緒にメニューを覗き込んだけど、好き嫌いがない浩二はすぐに瑞希のほうにメニューを向けた。
「いいよ、適当に頼んでくれて」
『好きなものをどうぞ』
そんな意味で言ったけれど、瑞希は不服だったらしい。
はっきり眉をひそめて、「そういうの困るんですけど」と、浩二を見やった。
(……まずい)
せっかく店を決めていなかったことを責められなかったのに、こんなところで機嫌を損ねたくない。
浩二はもう一度メニューを覗き込むと、目についたものを適当に言ってみた。
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