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軽く乾杯をして、とりとめのない話が始まった。
「今週も忙しかったんですか?」
瑞希に聞かれ、浩二は昨日も終電だったと苦笑いした。
「やっぱりすごくお忙しいんですね……。
また連絡こないから、忙しいんだろうとは思っていましたけど」
瑞希の声は淡々としていて、棘は見当たらない。
けれどこれはこれで、まるで自分に関心がないような言い方だった。
さすがにまずいと、浩二は内心慌てた。
(躊躇ってないで、なんでもいいから連絡すべきだったな)
かつての恋人にも、連絡不精だと何度も小言を言われていた。
また同じ轍を踏みそうになっているのに、瑞希に説教まがいのことをできる立場じゃなかったと、浩二は反省した。
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