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形式上は浩二と付き合っている瑞希だが、まだ元彼に心が残っているんだろうか。
かすかにだが、浩二の胸の奥がもやもやとした。
「その元彼さんとは、仕事は順調なの?」
「はい、おおむね順調かな。
クライアントの指示が細かいから大変ですけど、やりがいはあるんで、仕事自体は苦じゃないです」
瑞希の目はいきいきとしていている。
それを見ていると胸のもやはすぐに消え、瑞希を少し羨ましく思った。
「仕事、好きなんだね」
思ったまま口にすると、瑞希は考えるような間を置いた。
「好きっていうか……
私は私のために働いてるんで、精一杯やるだけですよ。
それに、たまに『よく頑張った!』って思える時がありません?
そう思える時は本当にまれだけど、あの感覚が好きなんですよ」
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