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その表情がやけに引っかかる。
様子を窺っていると、それから彼は饒舌になった。
笑みを崩さずに話し続ける彼に、瑞希は次第に違和感を覚えた。
話の内容云々じゃなく、なぜか彼と目が合っていない気がする。
実際にはそんなことはないのに、不思議な違和感がまとわりついたまま離れなかった。
(なんだろ……)
彼の目を見つめながら、モヒートを口に運ぶ。
やっぱり苦い。
頼むんじゃなかったと後悔しても、飲むと言ってしまったんだからどうしようもなかった。
なんとか飲み切り、話がひと段落ついた時には彼のグラスも空になっていた。
「なにか頼みましょうか」
口直しに甘い飲み物がほしいと、瑞希はドリンクメニューに手を伸ばす。
その時、仕切りの向こうから大きな笑い声が聞こえた。
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