47/69
前へ
/399ページ
次へ
声はこの席のとなり、瑞希が背を預ける仕切りの奥からだった。 ここの居酒屋は全席半個室の造りで、顔は見えなくとも声は通る。 さっきまで気にならなかったけれど、あちらの酔いがだいぶ回ってきたのかもしれない。 「俺もメニュー見ていい?」 ミヤサカがさっきと同じ笑みで尋ねた。 瑞希は頷いてメニューを一緒に覗き込む。 あれだけ話したら、彼だってさすがに喉も渇いただろう。 瑞希も甘いものが飲みたくて、フローズンカクテルの欄を眺めていると、また笑い声が聞こえた。 「だから、それは違うって」 瑞希は一呼吸置いて、反射的に顔を上げた。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4688人が本棚に入れています
本棚に追加