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胸が抉られたような気がした。
削り取られた場所が痛くてたまらない。
なのに言い返したい気持ちが湧き起こらないのは、自分がそういった女だったとわかったからだ。
和明の言っていることは間違っていない。
すましてたと思うし、相手を理解しようとせず、理解してくれるのが当然だと思っていた。
だから言っていることはわかる。
わかるけど、わかるのと傷つくのとは別だ。
「なんだよ。
そんなこと言って、その元カノと結婚しようとしてたのは誰だよ」
揶揄を含ませる話し相手に、和明は「勘弁してくれよ」と笑った。
「知ってるだろ、俺が結婚を迫られて嫌がっていたこと。
女のほうから結婚しようだなんて、ギラギラしててこえーよ。
別れてほっとしてるし、結婚式場のキャンセル料金なんて、今の平穏を思えば安い手切れ金だったよ」
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