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「……瑞希さん、もう出ようか」 突如ミヤサカが言ったことで、瑞希は意識を引き戻された。 彼は今にも席を立とうとしている。 咄嗟に彼を見上げたけれど、いったい自分はどんな顔をしていたんだろう。 壁一枚隔てた向こうで、悪びれもない会話の花が咲き続けている。 逃げるのは嫌だけど、この場にいるのも耐えられそうになかった。 力の入らない足で立ち上がろうとした時、ミヤサカのスマホが着信を知らせた。 さっと視線を投げた彼は、一瞬迷ったような顔をした。 スマホを掴み、「行こう」と促す彼の手の中で、場違いな着信が続いている。 それが仕事の電話だと気付くのに、そう時間はかからなかった。
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