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「芹澤さんはもう帰るところ? まさかひとり?」 「……いえ、相手は今席を外してて……」 瑞希のテーブルを覗き込もうとした住井に、そっけなく答える。 話を切り上げたいと態度に出ているはずなのに、酔っぱらっている住井は馴れ馴れしかった。 「それなら相手が戻ってくるまでここで飯田と待ってれば? 俺トイレにいくから、その間ここに座っていいよ」 住井はまた大きく笑って、和明の向いの席を指さす。 この男はなにを言い出すんだろう。 事情を知らないとはいえ、「ふざけないで」と叫びたくなった。 「おい、いい加減にしろよ。 ……芹澤さん、ごめん引き留めて。また明日の打ち合わせよろしく」 言われて思い出した。明日も和明と打ち合わせがあった。
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