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「……もう、勝手になにを言い出すんですか。 明日また元彼と打ち合わせがあるんですよ。もうひとりの住井だって、仕事で顔を合わせるし……。 あんなの放っておいてくれたらよかったんですよ」 しばらくして大げさにため息をつくと、ミヤサカは弱ったような顔をした。 「……ごめん。 瑞希さんの立場を考えずに、言いたいことを言った」 謝られると瑞希の胸が苦しくなった。 違う。ミヤサカは悪くない。 悪くないし、本当は庇ってくれたことが嬉しかった。 だけど素直になれないのは、和明に傷つけられたと知られたくないからだ。 平気だって強がりたい。 気にかけてくれているからこそ、心配されたくなかった。
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